たいの村

いろいろな記事を書いていきます。何を書くかは気分次第

「安倍晋三回顧録」読んでみて思ったことなど(ネタバレ有)

ども。たいたいぶんです。
久しぶりのブログ更新です。2月に出版され、話題になった「安倍晋三 回顧録」、読了しました。

今回は読んでみてどう思ったのか、私が思ったことを述べていきます。

思った事など

ここからは、私が疑問に思ったこと等を述べていきます。

福田淳一事務次官によるセクハラ問題について

2018年ごろ、福田淳一事務次官によるセクハラ問題がありましたが、それについて聞き手の橋本五郎氏は下記のように尋ねました。

森友、加計問題で野党の追及を受けているさなかの4月18日、財務官の福田淳一事務次官がセクハラ報道で辞任しました。複数の助成記者い対してセクハラ行為をしていたということですが、官僚に足を引っ張られたという思いはありましたか?
(365P)

これに対し、安倍氏はこう回答しました。

長く政権を担っていれば、いろいろな問題が起こますよ。一つ一つ乗り越えていくしかないのです。
福田さんはなかなか面白い男でした。財務官僚はまじめで暗い人も多いのだけれと、彼は違いました。私は嫌いではありませんでした。
(中略)
福田さんは財務官僚の中では珍しく、自由闊達に意見交換をしようというタイプでした。私が増税回避の話をすると、「総理、それは困りますよ勘弁してください」と物怖じせずに言ってきました。ただ、セクハラは許されません。
(366P)

実際に読んでいただくと分かりますが、上記の中略では、総理と官僚のコミュニケーションについて述べていました。
橋本氏は福田淳一事務次官のセクハラ問題について、官僚に足を引っ張られたという思いはあるか尋ねていますが、この質問に対する回答は最初に一行だけ。またセクハラ自体については後半の「ただ、セクハラは許されません。」とだけでした。福田氏の行った事についてどう思うのかを聞きたい人もいるかもしれなかったので、その人達の事も考慮して正直もう少しあればなとは思いました。

基本的に自己正当化が多かった

読んで思ったこととして、基本的に「これはOOが間違っていた」「これはOOがあったので仕方なかった」といった自己正当化が多かったです。
これはまだ国会議員をやっている立場もあって自己正当化のように聞こえてしまうのかもしれませんが、もう少し深い回答が欲しかったとは思いました。

官僚への敵対意識が強い

これも読んでみて思ったことですが、安倍氏は官僚への敵対意識が強いですねww
上記の福田事務次官へのセクハラ問題に対する質問でも橋本氏が言っていましたが、官僚は安倍氏のやりたいことを邪魔する人たちで、足を引っ張る存在だという認識が安倍氏の中では大きいと思います。
だからこそ官僚による安倍氏の意思に反する動きが多いことから何かしなければならないことがある際には官僚に任せず安倍氏が自ら主導することが多かったのでしょう。
個人的には裏でこの安倍氏と官僚の争いがあることには驚きました。基本官僚は政治家に従順かと思ったので...

インタビューの順番が時系列順でなかったことについて

この本を読んだ他の方も疑問に思ったことかと思いますが、インタビューの内容が時系列順ではなかったことを疑問に思いました。

目次
第1章 コロナ蔓延 ダイアモンド・プリンセスから辞任まで
第2章 総理大臣へ! 第一次内閣発足から退陣、再登板まで
第3章 第二次内閣発足 TPP、アベノミクス靖国参拝
第4章 官邸一強 集団的自衛権行使容認へ、国家安全保障局、内閣人事発足
第5章 歴史認識 戦後70年談話と安全関連保障法
第6章 海外首脳たちのこと オバマ、トランプ、メルケル習近平プーチン
第7章 戦後外交の総決算 北方領土交渉、天皇退位
第8章 ゆらぐ一強 トランプ大統領誕生、森友・加計問題、小池新党の脅威
第9章 揺れる外交 米朝首脳会談、中国「一帯一路」構想、
第10章 新元号「令和」へ トランプ来日、ハメネイ師との会談、韓国、GSOMIA破棄へ
終章 憲政史上最長最長の長期政権が実現できた理由

このような構成になっています。第2章以降は時系列順になっているので問題になってますが、第1章は先に来るものではないと思いませんか?第10章に来るのが適切かと考えます。
多分実際のインタビューでもこの順番でやっている事からコロナ蔓延が先になっているかと思いますが、先にコロナ蔓延から話しているのは何か聞き手の橋本氏に考えがあるのかもしれませんね。

安倍氏だからこそできた長期政権

読んで思うことは、やはりこの長期政権は安倍氏だからこそできたのだなと感じさせられます。
本書の中で安倍氏は「長期政権を築くにあたって周辺のスタッフと関係を築くことが大切なので、一緒に食事を取る等積極的にコミュニケーションを取った」(169P)と述べています。
このように官邸スタッフと一体となり、自由に話せる環境を作る事がまさに長期政権を実現できた理由なのでしょう。

麻生氏の弔辞がある

長年安倍氏と共に政権運営を行い、プライベートでも親交深かった麻生氏の2022年7月12日の葬儀での弔辞の内容についてはどこのテレビ局も出てくることはありませんでした。メディアが入れなかったからというのもありますけどね。
しかし本書では麻生氏の弔辞が全文載ってあります。あの時麻生氏は何を言ったのか気になる人は絶対読んだ方がいいです。

まとめ

本書では外交に関して、各国首脳とどのような会話をしたのか等、詳しく述べてくれています。
あまり外交の裏というのは想像つきにくいものですが、この本を読むと外交の裏側の想像がつきやすくなります。
また多くの実績を残した安倍晋三氏という惜しい人を亡くしてしまったのだなとも思ってしまいます。
このインタビューがされたのは2021年9月で、総理を辞任したとはいえまだ国会議員はやっている頃のインタビューでした。また国会議員をやっているという立場からこのインタビューではあまり自由に話すことができなかったかもしれませんね。国会議員も引退した後に重荷なく自由に話しても欲しかったなと思ってます。